ミナミヌマエビの餌|頻度と量はメーカー表示が基準、水温と食べ残しで調整

ミナミヌマエビの餌 頻度と量は食べ残しで調整

ミナミヌマエビは「餌はいらない」と言われることもあれば、「専用の餌を毎日あげる」と紹介されることもあり、どちらを信じればよいか迷いやすいエビです。メダカの容器に一緒に入れている場合は、メダカの餌とどう分けるかも気になります。

結論:エビ専用飼料を与えるなら、メーカー(キョーリン)の表示どおり「1日に1〜2回、食べきる量」が基本です。食べる量は水温や水質で変わるため、決まった量を続けるのではなく、食べ残しを見て調整します。この記事では、メーカーの公式情報と、エビの摂食量を水温別に調べた研究をもとに、餌の種類・頻度・量の決め方を整理します。

目次

ミナミヌマエビは何を食べるのか

キョーリンは、エビ専用飼料「ひかりヌマエビ」の説明で、ミナミヌマエビを「植物食傾向の強い」エビとしています。同社の「ひかりエビ」も、海藻やスピルリナなどの植物性原料を多く配合し、草食傾向が強いエビの主食として与えられると説明しています。

水草を食べる量を調べた研究もあります。土木学会論文集G(2015年)の水草摂食実験では、ヌマエビがマツモを1日あたり体重1gにつき0.404g、エビモを0.506g、ホザキノフサモを0.557g(いずれも湿重量)食べました。同じ実験では、水草を食べたことによる水質の悪化は少なかったとも報告されています。ただし、抄録には「ヌマエビ」とだけ書かれ、ミナミヌマエビかどうかは明記されていません。国立環境研究所の侵入生物データベースは、カワリヌマエビ属(ミナミヌマエビを含む属)の生息環境を「流れのゆるい川や池の水草が多い場所」としています。

ヌマエビが1日に食べた水草の量の比較水草を食べた量(1日・体重1gあたり)マツモ0.404gエビモ0.506gホザキノフサモ0.557g
図1 ヌマエビが1日に食べた水草の量(湿重量、土木学会論文集G 71巻7号の抄録の値をもとに編集部が作成)。実験に使ったエビの種名は抄録に書かれていません。

エビ専用飼料の頻度と量はメーカー表示が基準

同じキョーリンのエビ用飼料でも、製品によって与え方の表示が違います。手元の製品のパッケージに書かれた量と回数を、まず基準にしてください。

キョーリンのエビ専用飼料2種の比較(メーカー公式ページより)
項目 ひかりヌマエビ ひかりエビ
対象 ヤマトヌマエビ、ミナミヌマエビ、スジエビなどすべての淡水エビ ビーシュリンプ・ヤマトヌマエビなど草食傾向の強いエビ
与え方 1日に1〜2回、食べきる量 1日に数回、食べきれる量
形状 狙った場所に沈められるスティック状 稚エビも持ちやすい極小ディスク
特徴 善玉菌(ひかり菌)配合、散らばらず水を汚しにくい物性 脱皮に必要なカルシウム、銅分を配合
メーカーが示す働き 休眠状態で配合した善玉菌がエビの体内で活性化し、腸内バランスを保ち、フンとともに排泄されてフンの分解を促す カルシウムは脱皮を正常に行うため、銅分は血液の構成に必要と説明
内容量 30g 20g

2つの製品に共通するのは「食べきる量」という考え方です。ひかりヌマエビの説明には「水温や水質によって食べる量は変わります」とも書かれています。毎回同じ量を入れるのではなく、前回の残り具合を見て量を決めます。

ひかりヌマエビとひかりエビの形状と与え方の違いひかりヌマエビ沈むスティック1日1〜2回食べきる量ひかり菌配合すべての淡水エビひかりエビ極小ディスク1日に数回食べきれる量カルシウム配合稚エビも持ちやすい
図2 キョーリンのエビ専用飼料2種の違い(キョーリン公式ページの記載をもとに編集部が作成)。粒の形は模式図です。
食べ残しを見て餌の量を調整する流れ少量を与える次の給餌前に残りを見る残っている取り除いて次は量を減らす残っていない同じ量で続け様子を見る
図3 食べ残しを見て量を決める流れ(キョーリンの「食べきる量」の表示をもとに編集部が作成)。

専用飼料の与え方の手順

専用飼料の与え方の4つの手順1エビのいる場所に沈める2浮いた粒がないか見る3次の給餌前に残りを確認4季節の変わり目に見直す
図4 専用飼料の与え方の4手順(キョーリン公式ページの記載をもとに編集部が整理)。

1.エビが集まる場所に沈める

ひかりヌマエビは「水槽内の狙った場所に沈ませることができ」るスティック状で、エビがそれぞれ1粒ずつ持って食べやすい形だとキョーリンは説明しています。水草の茂みの近くなど、エビがよくいる場所に落とします。メダカなど他の魚がいる容器では、底まで届いたかを確認します。

2.浮いた粒がないか見る

粒の小さいひかりエビについて、キョーリンは「水の表面張力や油膜の影響で粒が浮くことがあります」と注意しています。水面に残った粒はエビに届かず、食べ残しになりやすいため、浮いていないかを確かめます。

3.次の給餌の前に残りを確認する

残っていれば取り除き、次は量を減らします。表示の回数(ひかりヌマエビは1日1〜2回、ひかりエビは1日に数回)の範囲で、残りが出ない量を探します。

4.季節で見直す

水温が下がる秋から冬、反対に高くなる真夏は、食べる量が変わる可能性があります。季節の変わり目は、特に残り具合をよく見ます。

水温によって食べる量は変わる

先ほどの水草摂食実験では、食べる量は18℃の低い水温と28℃の高い水温で少なくなり、25℃で最も多くなりました。メーカーの表示どおり、水温によって必要な量が変わると考えるのが自然です。

水温18℃・25℃・28℃での摂食量の違いを示す模式図水温と食べる量(模式図)少ない最大少ない18℃25℃28℃
図5 水温と摂食量の関係(土木学会論文集G 71巻7号の抄録をもとに編集部が作成)。棒の高さは実測値ではなく、大小関係だけを示した模式図です。

屋外の容器では、冬に水温が下がります。ミナミヌマエビの川での調査では、11月から翌3月の低い水温の時期にはほとんど成長しなかったと報告されています。冬の餌の考え方はミナミヌマエビの冬越しで詳しく解説しています。同じ記事では、室内で冬越しさせるときに水温を確かめる水温計などの道具も比べています。

与えすぎに注意する

キョーリンが「食べきる量」を指定し、ひかりヌマエビを「エサが散らばらず水を汚さない物性」と説明しているのは、食べ残しや散らばった餌が水を汚す原因になるためです。底に餌が残っていたら取り除き、次からは量を減らします。餌の与えすぎで起きる水質悪化の見分け方は餌の与えすぎで起きる水質悪化のサイン(メダカ向けの記事ですが、同じ容器の水を見る点は共通です)で確認できます。エビの数が急に減ったときはミナミヌマエビが死ぬ原因と対策も参考にしてください。

専用飼料を与えるか迷ったときの考え方

研究ではヌマエビが水草を食べることが確かめられ、侵入生物データベースも水草の多い場所を生息環境としています。一方で、水草や容器内の付着物だけで十分に育つかどうかについて、今回確認したメーカーや研究の資料には基準がありませんでした。

キョーリンは、ひかりヌマエビについて「エビの健康に配慮したバランスの良い配合により、このエサだけで健全に飼育することができます」と説明しています。これはメーカーによる製品の説明です。専用飼料を与える場合はメーカー表示が基準になり、与えない場合は量の目安がありません。与えないときは、エビの数や動き、脱皮殻の有無を日頃から観察し、数が減るようなら与える方向に見直します。どちらの場合も、急に数が減ったときは餌以外の原因(水質や外敵など)も合わせて確認してください。

製品タイプごとのメリットと注意点

エビ専用飼料のメリットと注意点(キョーリン公式ページの記載より)
タイプ メリット 注意点
沈むスティック(ひかりヌマエビ) 狙った場所に沈められ、エビが1粒ずつ持って食べやすい。散らばりにくい 水温や水質で食べる量が変わるため、量の調整が必要
極小ディスク(ひかりエビ) 稚エビも持ちやすい大きさ。脱皮に必要なカルシウムを配合 水の表面張力や油膜の影響で粒が浮くことがある

稚エビと脱皮期の餌

稚エビには、小さな粒の飼料が扱いやすくなります。キョーリンは、ひかりエビの粒を「稚エビにも持ちやすく食べやすい極小ディスクタイプ」としています。繁殖の時期や稚エビが増える条件はミナミヌマエビの繁殖にまとめています。

ひかりエビには、脱皮を正常に行うために必要なカルシウムが配合されているとメーカーは説明しています。編集部では、牡蠣殻を入れて約1か月後にミナミヌマエビ2匹の脱皮殻を確認した記録がありますが、牡蠣殻と脱皮の因果関係は断定していません。詳しくはミナミヌマエビの脱皮と牡蠣殻をご覧ください。

メダカと同じ容器で飼っている場合

メダカとミナミヌマエビを一緒に飼うときは、それぞれの餌の量を分けて考えます。エビ専用の沈むスティックは、底で暮らすエビに届けやすい形です。メダカの餌がエビの餌の代わりになるかについては、今回確認したメーカー資料に記載がなかったため、この記事では判断を示しません。混泳そのものの注意点はメダカとミナミヌマエビの混泳で、一緒に飼える生き物の組み合わせは混泳できる生体の相性一覧で解説しています。

当サイトでは現在、販売先を確認できたエビ専用飼料を紹介していないため、この記事では商品リンクを掲載していません。購入するときは、パッケージの対象のエビと与え方の表示を確認してください。

よくある質問

ミナミヌマエビに餌は毎日必要ですか?

キョーリンのひかりヌマエビは「1日に1〜2回、食べきる量」を与え方としています。毎日与えるかどうかより、食べ残しが出ない量にすることが大切です。

どのくらいの量を与えればいいですか?

メーカーの表示は「食べきる量」です。少量から始め、次の給餌の前に残りがあれば取り除いて量を減らします。

水草を食べることはありますか?

水草摂食実験では、ヌマエビがマツモやエビモなどを食べました。ただし抄録には実験に使ったエビの種名が書かれていません。

冬は餌を減らしたほうがいいですか?

実験では低い水温で食べる量が少なくなりました。ただし、この実験は水草を食べた量を調べたもので、抄録にはエビの種名が書かれていません。メーカーも水温で食べる量が変わるとしているため、残り具合を見て量を減らします。

野菜や家にあるものを餌にしてもいいですか?

今回確認したメーカーや研究の資料には、野菜や家庭の食材を与えることについての記載がありませんでした。そのため、この記事では勧めません。与える場合も、食べ残しが水を汚す点は専用飼料と同じなので、残りは必ず取り除き、水の状態をよく見てください。

餌を食べないときはどうすればいいですか?

食べないときの対処について、確認した資料に直接の記載はありませんでした。キョーリンは食べる量が水温や水質で変わるとし、研究でも18℃や28℃では25℃より食べる量が少なくなりました。まず水温を測り、食べ残しを取り除いて水の汚れを防ぎます。エビの数が減っている、動きがおかしいといった様子があれば、ミナミヌマエビが死ぬ原因と対策で水質や外敵など餌以外の原因を確認してください。

「ひかり菌」とは何ですか?

キョーリンがひかりヌマエビに配合している善玉菌です。メーカーは、エビの体内で活性化して腸内バランスを保ち、フンとともに排泄されてフンの分解を促し、水の汚れをおさえると説明しています。

稚エビにはどんな餌がいいですか?

小さな粒の飼料が扱いやすくなります。キョーリンのひかりエビは、稚エビも持ちやすい極小ディスクと説明されています。

餌が水面に浮いてしまいます。

キョーリンは、水の表面張力や油膜の影響で粒が浮くことがあると注意しています。油膜がないかを確認してください。

まとめ:表示の量を基準に、残りを見て調整

ミナミヌマエビは植物食傾向の強いエビで、専用飼料を与えるならメーカー表示の「1日に1〜2回、食べきる量」が基準です。研究では水温によって食べる量が変わり、25℃前後で多く、低温や高温で少なくなりました。食べ残しを取り除き、水温と残り具合に合わせて量を調整してください。

参考にした資料

資料の確認日:2026年10月29日。論文は抄録の内容のみを使用しています。

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